スペイン免許証への切り替えでの苦い思い出

スペイン

1990年にスペインのバルセロナに駐在しました。その時の苦い思い出です。

1990年4月に「スペインでの事務所開設」の命を受け、業務を開始しました。
新規事務所(新拠点)開設と言う事で、スペインでの会社の設立等々やるべき事が山積みでした。
4月には、一旦出張ベースで、バルセロナに渡り、銀行さんに色々とノウハウを教わり、弁護士事務所を紹介してもらい、必要なコンタクトを確保し、一旦日本に戻りました。
一番の仕事は、スペインで駐在するためのビザを取得する事でした。
弁護士事務所と相談しつつ、在東京スペイン大使館領事部に通い、ビザの発給を受けたのが6月でした。

運転免許をどうするかもっと事前に考えておくべきでしたが、国際免許証の取得がスペインへの出発の直前になってしまいました。
免許センターに行き、申請書と必要書類一式を提出しました。係官より、日本の免許の有効期限が来年の2月ゆえ、免許証の期限前更新をした上で、国際免許証の申請をする様に言われました。
その時、他の手配等もあり、免許証の更新をしている余裕がありませんでしたので、ダメ元で、
「今回は、スペインに赴任します。赴任後に現地の免許証に切り替えるべく申請予定ですので、何とか日本の免許証の事前更新を省略し、国際免許証を発行して頂きたい」と交渉したところ、

「それなら、日本の免許証の期限内に必ず外国免許証を取得してくださいね」と念を押されたものの、国際免許証の発給をして頂きました。
その時には、これが悪夢の始まりとなるとは、夢にも思っていませんでした。

6月にバルセロナに赴任しましたので、2月までには余裕があると高をくくっていました。
赴任して直ちに会社設立の手続きに着手しました。これには、約3か月掛かり設立許可を取得できたのは、9月になってからでした。

会社ができましたので、やっと私の居住及び就労許可申請ができる事になりました。何とかビザの有効期限には間に合い、申請は受理されました。

その頃のスペインのお役所は、一つの事に大変時間がかかる事が多々ありました。
但し、居住及び就労許可申請中は、その申請書の写しを所持する事で合法的に滞在はできるとの事でした。
後から聞いた話ですが、その当時、正式な居住及び就労許可書を持っている人は大変少なく、申請中の立場の方々であふれていました。
通常の生活には、これで問題はありません。

但し、日本の免許証からスペインの免許証に切り替えるには、正式な居住及び就労許可書がないと申請もできないと言う事が判明しました。
2月の日本の免許証期限直後に居住及び就労許可書を入手できましたので、警察に出頭し、何とかスペインの免許証に切り替えるよう交渉を致しました。
しかし、この様なところは厳格で、失効した外国免許証ベースでは、スペインの免許証への書き換えは不可との事で譲ってもらえませんでした。

色々な人に相談した結果、スペインの運転免許試験を受験するしか方法が無いとの結論となりました。

その当時は、スペインで免許証を取得するためには、
1)学科試験を受けて合格する事
2)その後、自動車学校で、先生に同乗してもらい路上練習を行う
3)実技の試験を受験

と言う流れでした。
色々と策を探していたので、学科試験受験のための講義を受講し始めたのは、確か4月頃であったと記憶しています。
外国人が、スペインの若者にまじってスペイン語で、学科試験の勉強をするのは結構大変でした。
ただ、下手にスペイン語の語学学校に行くよりも勉強になった様な気がしました。

約一か月みっちりと勉強し、学科試験に臨みました。
なんと、学科試験は、一発で合格する事ができました。
実技の試験は、運転経験もありますので、甘く見ていました。
規定の路上実習時間もあったと思います。ここでも約一か月を使い実技試験の対策を行いました。

満を持して、実技試験を受ける事になりました。この時すでに、6月末になっていたと思います。
バルセロナオリンピックのメインスタジアム建設中のモンジュックの丘にある一般道が試験会場でした。

日本の実車での実技試験の場合は、決まったコースをルールに従い走る事ですが、スペインの試験は、乗車後に試験管が、口頭でどうすべきか指示してくる方法で行われました。

・右折禁止の手前で、次に右折できるところで右折して
・交差点を超えた後で、一番早くできるところで、縦列駐車して
・次の角を左折して

と言う具合です。スペイン語の指示を聞きながら、その通りに運転するのは、思っていた以上に難しいものでした。

一回目の試験の時は、縦列駐車後に、「さあ、出発して」と言われ、出発したところ、後ろから来た車にクラクションで注意されてしましました。安全確認義務違反で、即試験終了でした。不合格でした。

2回目は、7月に入っていました。今度こそと思って受験するも、再びスペイン語の指示を聞いている内に注意散漫となり、不合格。加えて、夏休み時期は試験は行われないので、次回試験は9月のはじめとなると言われてしましました。

9月まで待つことはできませんでしたので、急遽日本に短期一時帰国し、失効した免許の復活を行う事にしました。
その一時帰国の許可をブラッセルにいた上司にもらう際に、彼から、この機会をとらえてお見合いでもしてきたらどうか?と言われました。

何と、その時に見合い的に紹介され、帰国中にもう一回デートをして遠距離恋愛にて、結婚を決めたのが家内です。全く世の中何が起こるか分からないものです。

この後は、海外赴任前には、必ず運転免許証の期限には細心の注意を払う様になりました。

次回に続く…。

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