4か国語麻雀みたいな工場立ち上げ

スペイン

1990年にバルセロナ事務所の立ち上げをやらせてもらいましたが、事務所設立の大きな理由の一つは、グループ企業の工場新設でした。

会社の機械部門にて、そのグループ企業がバルセロナ郊外に新工場を設立するにあたり、日本からの設備を受注したのです。
その条件として提示したのが、「事務所を設立し、機械設備の設置までサポートする」と言うものであったとの事でしたが、このことは、後になって知りました。おおらかな時代でした。

その機械設備の引き渡し条件は、「フルターンキー」と言うものでした。
バルセロナ駐在前は、鉄鋼製品の貿易業務を行っており、機械設備の取引条件も知らぬままの赴任でしたので、当然、この条件を知っる由もありませんでした。
現地での作業中に相手先企業の駐在員からその条件を聞かされ、詳細を教えてもらいました。
それによると、据え付けをすべて完了させ、設備にキーを入れて始動させ、その動作確認を行う事が検収条件となるとの事でした。
最終的には、会社が納めた機械設備は、スペインでの輸入通関後、日本からの技術者が据え付けと調整の作業を行い、前後の設備とのつなぎを確認し、確実に生産できる状況をテストし、最終検収して頂く事ができました。
なにも知らない私でしたが、たまたまスペイン語はできましたので、関係者の通訳をしたり、必要なアシストの手配を行ったりと、取引先の方々にも教えて頂きながら、業務を完了した時の嬉しさは忘れられません。
1991年頃の話ですから、もう30年も前の思い出ですが・・・。

上記に「前後の設備」と記載しましたが、我々が販売した設備の前工程は、ドイツからの設備、後工程は、フランスからの設備でした。
初めのうちは、それぞれ隣同士で、単独での設備の据え付けを行うのですが、中盤には、設備同士をコンベアーでつなぎ、終盤には、前工程で生産された部品を受け取り、自分の設備で生産し、後工程の設備に流す事が必要になります。

ここで、色々な打ち合わせ、会議が行われる事になりますが、
・ドイツ人:ドイツ語
・フランス人:フランス語
・日本人:日本語
・スペイン人:スペイン語とカタルーニャ語(バルセロナ周辺はカタルーニャ語が使われている)
・いざと言うときの共通語:英語
何と多い時は6か国語が飛び交う事になります。
若い人には通じないとは思いますが、「タモリさんの四か国語麻雀」以上の言語数になってました。

例えば、全体の会議を英語で行おうとした場合、
・日本チームは、その後、日本語で確認
・ドイツチームは、ドイツ語
・フランスチームは、フランス語
・現地チームは、カタルーニャ語
で、確認作業をした後に、最終確認となったりしていました。
統一言語で行う会議に比べ、本当に多くの時間が掛かったものです。
でも、異文化が交錯する世界で、楽しいこともたくさんありました。

スペイン語と言う特殊言語を学んでいてよかった事は、日本語や英語では知ることのできない世界を知ることができる事もありますが、会社生活で得したことがあります。
それは、スペイン語ができなかったら、教えてもらえなかったことを教えてもらえたことです。
例えば、何かを通訳する必要がある時、その内容を詳しく知らないとできないことがあります。通訳を必要としないならば、その人に教える必要がない事を通訳させて頂くために教えて頂く事ができた事です。その意味でも、語学は世界を広くすると感じました。

次回に続く…。


コメント

タイトルとURLをコピーしました